管理職になりたい女性って果たしてどれくらいいるのでしょうか?
日本の上場企業の女性管理職の割合は約5%。先進国の中では最も低い水準だそうです。
原因として女性側にも「管理職になりたくない」という意識が強いことが挙げられます。
確かに女性の場合は管理職に昇進することで、仕事と家庭の両立に多少なりとも支障をきたします。
実は筆者も管理職でしたが、自ら管理職は外させてもらいました。
身近に自分のなりたいロールモデルがいないため、不安要素や心配な面が多くありました。
一方、管理職なんて、そんなキラキラしたものなんかじゃないのに、企業や行政が提案するロールモデルや、書籍で紹介されている女性たちも、とても頑張っている姿が前面にでて、正直圧倒されてしまいます。
肩ひじ張らずに、もっと自分らしくやりがいを持ちながら働くことはできないものでしょうか。
筆者の経験も交え、女性が管理職になることの現状について触れていきたいと思います。
Table of Contents
管理職になりたくない女性は多い
管理職になりたくない理由と実情
女性が出世したくない、管理職になりたくない理由は様々ですよね。
その中での一番の理由は、プライベートを何より大切にしたいということが大きいでしょう。
社内でポジションがアップすることにより、責任がますます重くなり、残業が増え、定時に帰るのも難しくなる可能性は目に見えています。また、万が一時間の拘束は少ないとしても、精神的な負担がかなり大きくなります。
現状の企業ではどんな女性なら管理職ができるのか?
管理職をしても良い条件の女性
第一に管理職になる資質は一番大切です。
ただ、企業の現状において、子育て真っ只中で、管理職になるには負担が大きいような気がします。
私自身の経験から言うと、既婚者でも、子供が生まれる前か、その逆で子供が大学生になってからなら管理職をしてもいいのかなと思います。
あるいは、子供がいても一人だと負担は少なく、業務を遂行できるんじゃないでしょうか。
実際に、日本の女性管理職の半数は独身か、子供がいないそうです。
私の周りでは、独身、子なし、高齢出産(←なので子供は1人)である女性がほとんどです。また、どちらかの両親と同居、といった女性がほとんどなのではないでしょうか。
さらに、夫がどのようなスタイルで仕事をしているかにも大きく左右されると感じていました。
既婚者だとしても、夫が自営業、リモートワークのスタイルで、日常的に、家事、子育て、子供の習い事の送迎などにおいて、協力的な家庭であれば女性の方が管理職をすることも可能です。
つまりは、女性の働き方だけでなく、男性の働き方、周囲のサポートがめちゃくちゃ関係してきます。
管理職はデメリットのほうが多い!?
女性目線で日本企業を分析した結果、「管理職になるには割りに合わない」「管理職はワークライフバランスに優れない」「管理職としての報酬が見合わない」などマイナス要素が高いため、あえて選択しない女性は多いと思います。
管理職のデメリットとは?
企業内でのデメリット
管理職になると、「責任が増える」「人間関係が複雑化する」「今まで以上に成果を問われる」など求められる質が変わります。
責任が増えることはもちろんのこと、人間関係も複雑化しがちです。場合によっては年齢が上の人や、昔の上司が自分の部下になるというケースも少なく、部下の言い分、会社の方針の板挟みになることも増えます。部下の不満は上司に向けられることも多く、これも仕事の一つと言えるといっても過言ではないかもしれません。
また、これまでよりも成果を問われ、自分の意思決定や裁量が、結果にダイレクトにつながります。万が一成果や結果を得ることができない場合には、管理職としての責任を問われます。
さらに、男性優位の企業においては、女性の意見がそもそも軽視されやすく、男性陣に嫌悪感を抱かれる傾向があります。
これまで男性中心だった企業が、そのルールを引き継いだままになっていることが大きな問題だと思います。
古くからある企業は、男性優位の企業がほとんどなのではないでしょうか。
プライベートにおいてのデメリット
筆者の場合ですが、プライベートにおいて、目には見えない精神面においても、いつのまにか仕事に支配される時間が増えてしまいました。
立ち止まって、自分は何のために働いているのか?改めて考えた時、家族のため、子供のため、だったことに気づかされ、それらを犠牲にするぐらいなら、管理職を辞めようと思いました。
振り返ってみると、プライベートを充実させるために働いていたにも関わず、プライベートがなおざりになっていたんだと思います。
管理職のメリットは?
管理職は、大きな視野で目的意識をもって仕事を進めることが重要になってきます。
仕事を遂行するのに、重い責任と高い能力が必要よとなるためビジネスパーソンとして成長していくことができます。裁量権が増える点でもメリットといえるでしょう。
また、私自身、企業人としての、誇りを持つこともできたような気がします。
さらに、自分自身にとっての学びが増え、視点も変わるため、仕事の視野が広がるところでしょうか。
「女性推進活躍」という言葉への違和感
「女性推進活躍」と言うこの言葉に違和感も感じています。
この「女性推進」に女性の意思はどれだけ反映されているのでしょうか。
行政は女性管理職を30%に増やそうなどと躍起になっていますが、そもそも働く女性が管理職になることイコール、活躍、輝くことではないと思います。
自分軸で働けることが、その人にとって幸せであり、その自分軸というのは個々によって違います。
もちろん、管理職になることで輝く人もいれば、人に頼られることでやりがいを感じ活躍している人もいれば、人それぞれなのではないかと。
残念ながら、今の日本の社会構造のままだと、働く女性の可能性には限界があります。
企業自体が、無意識からの昔ながらの男女の役割に対して、大きく考え方を変える必要があると思います。
何かを犠牲に自分の中で優先順位をつけながら働いている女性が多いのが現実です。
「女性目線で、女性活躍が感じられること」につながる政策をしてほしいものです。
深刻な少子化問題
長年フルタイムで子育てしながら働き続きてきた私から言わせると、日本は完全に少子化対策を失敗しています。
そして、20年前と変わらず、というよりも、さらに深刻化し、なんとか女性に子供を産んでほしい、といまだに言っています。さらには、その女性たちに管理職にもなってほしい、と言っていますよね。
子供を産んでほしい女性と、管理職になってほしい女性は、同じ対象の女性なのでしょうか。
現状の働く環境では、子育てと管理職になること、この二つが対局線上にあると思うのは私だけでしょうか。
企業や社会全体が、子育てに協力的になるべきだと思います。
個人的には児童手当、高校無償化の所得制限にもかなり反対です。
働く女性が増加した今、仕事を続けながら子供を育てるインフラを早急に整えるべきだと思います。
まとめ
今の現状だと管理職をしたいと思う女性は少ないでしょう。
このまま数字だけを求めて女性管理職を増やしたとしても、現場では混乱が起こることも考えられます。
数字を求めるのではなく、管理職になることのメリット、デメリットを理解した上で、本人がどうしたいか、どうなりたいか、資質も見極め、判断すると良いのではないでしょうか。
そして、企業がこれまで男性仕様だった職場のルールを早急に見直すことが必要だと思います。
国としても女性管理職の率を上げることだけに躍起になっていますが、その前に整えるべきことがあると思います。
現実的に雇う側と雇われ側との思いが、まったくマッチングされていないと思うので、現状を把握し、本当の意味での女性の就業支援に力を入れてほしいです。
一方、女性管理職が増えると、組織の活性化など多くのメリットは見込めます。
これらのことを、理解したうえで数字だけを目標とせず、全ての人が能力を発揮できる組織作り、しくみを作ることが大切だと思います。
これからの労働力不足も考える日本で、女性が活躍できることはとても必要なことです。
そのためにも、新たな視点から、女性が働きやすい制度を取り入れ、整備することで、女性がより働きやすい環境になることが大切なのではないでしょうか。
それをきっかけに、男女問わず全ての人が働きやすい環境になることが理想だと思います。
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